上海ベイベと香港ガーデン

自堕落な元バンドマンの独り言集。

独白

胸の真ん中のあたりが疼いています。いてもたってもいられない苛立ちに、わあっと叫びたくなる衝動が、夜を奔走しているのです。とうに忘れたはずの哀しみが蘇って、それを投げ破ってしまいたい気持ちと、懐かしむ気持ちとを抱えてまた夜を越えました。それは私にとってある種の山々です。山越えの、朝です。荷を下ろしたいのはやまやまだけど、これを忘れてまた市井に出るかと思うとゾッとします。どんなに薄情で味気のない日々だろう。私は私の哀しみ抜きには、私を考えることがもうできはしません。それでも朝は私を、また知らない私へと変えていきます。それが判るあなただからこそ好きなのです。

どうせならいっそ薄情であれば良かった。薄情な振りをして、憂き身をやつしていれば、恋なんて簡単に忘れられるものだと知っています。そう努めていながら、簡単に忘れてしまえる人間を軽蔑しています。並大抵の恋は偽物です。浮気心です。浮気は、既に相手がいるかどうかが問題なのではなくて、生半可な好奇心を恋と換言することなんです。恋は血のスープです。それを一滴も飲まずして語るには値しません。

何一つ行為せず、大酒喰らい共に天才、天才と囃されていい気になっているアンポンタンは、彼らを見下しながらも、その優しさに救われていることに気づきました。最近は親も優しくて、私も親に優しいので、まるで無防備になったところに貴方の影が入り込んだのかも知れません。また貴方を忘れて朝を迎えましょう。さようなら。